会社登記について

 

1.株式会社の設立
 株式会社の設立とは、株式会社という社団法人(多数の構成員(株主=出資者)から成る団体)を成立させる手続です。設立の方式としては、 発起設立と募集設立の方法があります。発起設立は発起人(出資者=株主)が全ての株式を引き受けて設立する方法で、募集設立とは、一部の株式の引き受けを募集して設立する方法です。一般的なのは、簡便な発起設立の方です。
 設立の動機としては、節税メリットが大きいと思います。個人の場合の所得税は超過累進税率であり、住民税と合わせて最高税率が50%の税率となっており(平成25年分から25年間は復興特別所得税として、所得税はさらに2.1%上乗せ)、将来的に所得税の最高税率は40%から45%に上がる予定です。なおこれ以外に事業税が最高で5%かかります。
 一方、法人の場合は、比例税率であり、法人税・住民税・事業税・地方法人特別税を合わせた実効税率は最高で36%(平成24年4月1日から始まる事業年度について3年間は復興特別法人税があるため38%)となっております。
 その外の設立メリットとしては、事業の信用性の強化、出資金の確保、法人名による契約・登記が可能になることが挙げられます。

必要書類
◇定款
◇発起人会議事録
◇出資の払い込みを証する書面
◇発起人、代表取締役の印鑑証明書
※登録免許税は、資本金の0.7%(その額が15万円に満たない場合は、15万円)
※当事務所に依頼された場合は、自身で進める場合に発生する書面定款に貼付する収入    印紙代4万円を、電子定款を作成することによりカットすることが出来ます!

 

2.商号変更登記
会社の名前(商号)は、いつでも好きなように(商号と本店所在地が共に同一でなければ、既存の会社と同一の商号又は類似の商号でも登記は可能)変更出来ますが不正な目的で他の会社と誤認させるような商号を使用することは禁止されていますし、商号差止請求や損害賠償請求の対象になることもあります。(会社法第条、不正競争防止法第2条1項1号、3条、4条、7条)
 
必要書類
◇株主総会議事録
※登録免許税は、金3万円
 

3.目的変更登記
会社の目的(事業内容)は、いつでも変更することができます。会社法の改正によって目的も緩和され変更しやすくなりました。
 
必要書類
◇株主総会議事録
※登録免許税は、金3万円
 

4.資本の増加
会社の資本を増加させる場合、一般的に募集株式の発行の手続きにより増資しますが、中小企業の経営者(株主=オーナー)が、個人的に会社に対して 貸し付けしている貸付金を、資本として組み入れて増資する方法も簡単になりました。
 

必要書類・・・新株発行の場合

◇取締役会議事録(公開会社の場合。非公開会社の場合は取締役の決定(取締役会設置会社にあっては取締役会の決議)によって定めることができる旨の定款の定めがある場合)

◇株主総会議事録(非公開会社の場合(取締役会議事録を要する場合を除く)、公開会社で、株主以外の者に有利な金額で発行する時)

◇株式申込証

◇払い込みがあったことを証する書面

◇資本金の額の計上に関する証明書
※登録免許税は、増加資本額の0.7%(この額が3万円に満たない場合は3万円)
 

5.役員の変更
原則、株式会社の取締役の任期は選任後2年、監査役の任期は選任後4年です。
新会社法の施行により、会社の機関設計によって役員の任期は異なってきます。
同じ役員が選任された場合(重任)でも、役員変更登記申請はしなければなりません。(重任の登記といいます)
 
必要書類
◇株主総会議事録
◇取締役会議事録又は互選書
◇就任承諾書
※会社の機関設計、役員変更の内容によって必要な書類が異なってきますので、詳しくは当事務所にお尋ね下さい。
※登録免許税は、金3万円(資本金が1億円以下の場合、金1万円)  
 
 
6.中小株式会社の機関設計例

   




(1)
株主総会
取締役
 
 
 
 
(2)
株主総会
取締役
 
監査役
 
 
(3)
株主総会
取締役
 
監査役
会計監査人
 
(4)
株主総会
取締役
 
監査役
 
会計参与
(5)
株主総会
 
取締役会
 
 
会計参与
(6)
株主総会
 
取締役会
監査役
監査役会
会計監査人




(1)
株主総会
 
取締役会
監査役
 
 
(2)
株主総会
 
取締役会
監査役
監査役会
 
(3)
株主総会
 
取締役会
監査役
会計監査人
 
(4)
株主総会
 
取締役会
監査役
監査役会
会計監査人
(5)
株主総会
 
取締役会
 
委員会
会計監査人
 
※公開会社とは、その発行する全部の株式の内容として、譲渡制限に関する定款の定めを設けていない会社のこと。
※非公開会社とは、その発行する全部又は一部の株式の内容として、譲渡制限に関する定款の定めを設けている会社のこと。
非公開会社(譲渡制限会社)は、定款により役員の任期を最大10年まで延長可能。
※取締役の員数は、取締役会を置かない場合なら1人以上、置く場合は3人以上必要。

7.商業登記の仕組み

 

1.会社法と民法の相違

・会社のする意思表示

 →民法との比較

  民法では、契約は、自然人の意思表示(申し込みと承諾の意思表示の合致)によって行われる。その効果は、その自然人に帰属する。

  ・株式会社は、オーナーである株主とは別個の法人格であり概念上の存在のため、意思決定及び意思表示は、会社にかわってそれを行う機関が必要となる。

   →代表取締役(会社に代わって意思表 示(契約)を行う人)

   例えば、人間でいうと、消化器官が機関で、その恩恵を受ける身体が法人格を有する会社、となる。

 

2,商業登記制度

・商業登記の制度目的

 商法、会社法その他の法律の規定により登記すべき事項を公示することで、①商号、会社等にかかる信用の維持を図り、かつ②取引の安全と円滑に資することにあります。

 

・どこまで会社の情報を記録するのか?

 企業は、営利の追求を目的とするため、対外活動としての取引を行うのが必須。安全に取引をするためには、取引者が相互に相手方の信用力(財務状況)を十分に把握できなければなりません。そのため、取引者は相互に相手方の信用を中心とした取引情報を調査すべき。

その際、調査が不十分であれば取引に危険が伴うことになり、調査に万全を期せば迅速な取引が実現できないという問題が生じます。そこで、信用を中心とした取引情報を文字によって外形化し、それを一定の公簿(商業登記簿)に記録し、それを取引者に公開するという公示制度が登場します。これが「商業登記制度」であり、これにより、登記に着目して調査をすれば、安全で円滑な企業取引が実現できる。

企業形態の主流は、会社企業です。会社は法人であり、その存在は観念的ものであるため、自然人に比して、その存在及び信用調査より困難です。これでは会社企業との取引が敬遠され、大規模かつ永続的な企業活動を可能とするための会社企業もその威力を発揮できません。

そこで、会社の存在及び取引のために重要な情報を登記により公示することで、調査を合理化し、会社制度の信用を確保することになるのです。その意味で商業登記制度は、会社企業の信用を支える基盤として評価できます(蛭町浩、うかる記述式対策商業登記、日本経済新聞社から引用)。

 

 

取引調査の困難性            会社の観念性

安全重視→×迅速性

 

(二立相反)                【会社の信用確保】

迅速重視→×安全性

 

 

取引情報の外形化=公示制度

登記に着目した調査により

 

取引の安全・円滑を確保

あすなろ司法書士法人

司 法 書 士:金城 仁史

司 法 書 士:平  智喜

司 法 書 士:比嘉 良泉

土地家屋調査士:仲間 功

 

TEL:098-834-1100

FAX:098-834-8433

 

営業時間 

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司法書士 金城仁史のブログ
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